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執筆者の写真団九郎

元警部補の万引き累犯

9か月前に出所して、建設会社で働いていた。買い物に出かけたつもりが、気づいたらメガネを万引きしていたという。被告人は、警察官として25年間働いて警部補まで昇格したが、パニック障害となりメガネを万引きしたことをきっかけに自主退職し入院し、その後離婚などして、精神状態は悪化、強かん致傷や窃盗など複数犯罪により懲役12年。その間、刑務所では精神状態は安定しており、緩解したと思って出所後は医療にはつながらなかった。受刑中に法務省の協力雇用主として受け入れをしていた建設会社に内定していたため、そこで働いていた。


証人喚問で建設会社社長は、仕事はまじめでよく働き、日常生活もきちんとしていて乱れた様子が見られず、仕事仲間にも信頼されていた。ただ、見栄っ張りなところがあり、困ったことを人に相談したり、頼ったりといったことができない不器用な一面もあったという。受刑後はもう一度戻ってきてほしいと話す。


証人の誠実で厳しくも温かい態度に、通常は厳しいはずの検事の尋問も前向きな質問で、裁判官も「愛を持って受け入れてくれている」と、裁判には珍しく法廷全体が温かい雰囲気に包まれた。


被告人は、犯行時の盗ったこと、その場で言い訳をしたことなどは記憶がないという。被告人は刑務所の中では記憶がなくなるようなことはなく病気は治ったものと考えていたという。彼にとって、社会で生きることは頑張らなくてもつらく厳しいものなのだろうと思う。社長は次回はそうした被告人の事情をよく考えて対処していきたいと話していた。


犯罪はよくないことです。辛くても苦しくても犯罪の言い訳にはなりません。しかし、一方で社会が犯罪の土壌を構成しているということも、また確かだと思います。彼の更生は社会とともにあると思います。


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