いのちのギャラリー主催の「死刑と司法を考えるープリズンアカデミーカフェ」シリーズの第6回「プリズンヨガの可能性」でプリズンヨガサポートセンターの講演に参加してきました。松浦代表が理論を講演いただき、井上副代表が実践の内容を講演していただいた。
団体は2019年設立とまだ新しい団体。かねてから受刑者の相談にのっていた松浦さんがイギリスでヨガ・瞑想が犯罪からの更生に与える影響について研究し、犯罪学の修士号を取得し、設立したとのこと。
井上さんはヨガ講師、ヨガで人生が180度変わったという方で、アムネスティ日本、永山子ども基金などでいのちのギャラリーとのつながりがあるらしい。
ヨガ・瞑想について、そもそもヨガという言葉には「つながり」という意味があり、まず自分自身の今ここにある体や心を感じてつながることで、ストレスや不安から解放され、肯定感が増すというものだとのこと。受刑者とのやり取りは個々の受刑者と特定のパーソナルサポーターが手紙でやり取りしていて、手紙のやり取りの例も紹介された。
私も、現在、性犯罪の防止活動について始めたところであるが、性犯罪を犯して受刑しすることになった人は文字通り社会からは排除された環境で原則、社会との「つながり」は絶たれている。そんな中で、いくら厳しいせいつ制限を与えて苦しめたところで、こんなところにいたくないと思わせたところで、自分がなぜ犯罪を犯したのか、犯した罪について反省したり、被害者への謝罪の気持ちも生まれるものではない。かえって、被害にあった方が悪いくらいに考えるものだと思う。これは、実は、自分のこと自体を大事に思えていないために、他人に対しても思いやりを持つことができないということに起因する。自分のことを大事に思えないのは、自分が壊れないように自分が何を感じているのかを感じないようにして生きてこなければならなかったということがある。
ヨガ・瞑想が有効なのはそうした、自分の心や体に今何が起きているのか耳を傾けることでまずそうした自分さえも感じない自分から「自分とつながる」自分になることで、人ともつながる準備ができるのだと思う。そして、パーソナルサポーターの存在が「つながり」を実現してくれているのだと思う。さらに言えば、ヨガ・瞑想は宇宙ともつながるという境地にも通じるということも聞くが、それはいつどこにいても、何かとつながれることができることを意味していると思う。
こうした考え方は、受刑者のみではなく、すべての人においても必要なことであると思える。昨今、精神病院を無くすことに成功したオープンダイアログという手法が見直されているが「つながる」といういみでは同じ効果がある。オープンダイアログの手法は刑務所の更生プログラムにも活用され始めている。
いまのところ、プリズンヨガは郵便の通信教育的なものとして実施されているが、エガ・瞑想は手軽にできそうなので、刑務所内のテレビやラジオの視聴時間に定期的に番組を放送するなどしてもよいかもしれない。
プリズンヨガサポートセンター
https://www.facebook.com/PYSCJapan
https://twitter.com/pyscjapan
コメント