強制わいせつ罪。
駅のホームで好みの女子高生(被害者)を見つけたので、後をつけて、混雑に乗じて被害者の後ろにつくようにして電車に乗り、手の甲で臀部をスカートの上から触ったが、反応することがなかったので掌で触り、抵抗しないとみると、スカートをまくり、下着を下ろした。それでも、拒否されなかったため人の乗降に乗じて被害者と向かい合うように位置を変え、陰部を直接に触れて中指を入れて触るなどした。
被害者はこの間、恐怖で固まっていて身動きできなかったので、降車駅について降車して、加害者から逃げるために駅のトイレにはいって、助けを求める人を探したがかなわず、時間を待ち加害者がいないことを祈ってトイレを出ると、被告人がスマホを持って、待ち伏せていたので、加害を受けていた時の100倍の恐怖で驚いて全速力で走って逃げたが、被告人が追い付いて立ちふさがり、「逃げるなんてひどいじゃない」「さっきのかわいい写真拡散してもいいの」といわれて、力が抜けて座り込んでしまい「逃げても無駄だよ」といわれたことに対して「通報してもいいですか」といったところ、被告人は逃げたが、被害届を出し、被告人は防犯カメラ映像から逮捕された。
被害者の供述調書では、犯行中は恐怖で抗えなかったこと、犯行後はトイレに入ると出ることができなくなるなど、学校生活に困難をきたし一週間ほど学校に行けなかったこと。「私が何か悪いことをしたのでしょうか」と自分を責めるように述べていることが心に刺さる。被害者は、自分のことも責める傾向がある。それほど、受け入れることができないことなのだと思う。
被告人の身上としては父親と姉と小さな妹がいるが経営していたコンビニが2年前に倒産し自己破産、被告人はアルバイトを掛け持ちして別居していた。被告人の女性関係や、女性に対する認知形成については、被告人の趣味であるゲームやコミックの作品傾向をカテゴリで聞く程度で、ほとんど審理はされていない。
被告人の犯行の状況を考えると、
・車内で偶然ではなく、ホームから追尾していること。
・混んだ電車で、最初から被害者から分かりにくい背後に位置取りしていること。
・手の甲で様子を見て数分のうちにスカートの中まで手を入れていること。
・下着を下ろすという大胆な行為。
・陰部を中指でことさらに指を入れたり陰核を触るといった行為そのものが手馴れていること。
・トイレに隠れた被害者を悠然と外で待つ落ち着き。
・逃げた被害者を「逃げるなんてひどい」と追いかけていること。
・とってもいない写真を公表するというような脅迫をしていること。
これらの状況はとても初めての犯行でできることではないと思われるが、被告人は「はじめて」だと答え、裁判官も疑いがあり2回聞いたがそれ以上の尋問はなかった。
しかし、これだけの犯行が万が一初めてだったとしたら、生まれつきのサイコパスのようである。仮にそうだったとすると、更生の余地などあるのだろうかとも思う。
被告人は、今後再犯を行わないように父親と同居し、父親と同じ職場で車で通勤すること、被害者が利用する路線や駅には近づかないことを証人の父と本人が誓った。
犯行の動機は性的欲求であり、犯行を自制できなかったと証言しているがなぜ自制できなかったのかが問題なのだが、その点については犯行時はとにかく何も考えられていなかったと述べ、「考えられていたら犯行していなかった」などと開き直る場面もあり被告人は知ろうとも考えていないようだった。被告人は現在無職で貯金もないため20万円の被害弁償を父親が払っているが、被告人が働いて収入を得るようになったら今後も継続して被害弁償を行うとのことだった。
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