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執筆者の写真団九郎

性犯罪被害者はフラッシュバックに苦しんだり、自殺企図することも。

強制わいせつ。追起訴。

2週間程度の間に立て続けに2件の強制わいせつ行為。被告人は事件当時26歳、会社員。前科前歴は無し。


【事件のあらまし】

1件目は深夜、会社から帰宅途中の自宅最寄り駅から、好みの女性(被害者女性当時17歳)の後をつけて、ナンパのように「今帰り?」などと声をかけた。被害者は逃げようとしたところ、いきなり抱きつかれ「助けて」と繰り返し声を上げたが、さらに強く抱き着かれて胸や陰部を衣服の上から触られた。


2件目は、自宅で深夜に窓から顔を出して女性を物色していると、好みの女性がいたので後をつけて、薄暗い場所で声をかけて。SNSの連絡先を聞こうとしたが、拒まれたため1件目と同様に抱き着いて胸や陰部を衣服の上から触った。


【被告人の情状】(母親の証人尋問、要約)

被告人は小学校2年生の時に双子の兄弟が生まれて、親の愛を十分に授けることができなかった。夫とは離婚して母子家庭であり、家庭では性犯罪や薬物はしないようにとは話していた。被告人は事件前の2年前くらいから実家で同居していた。仕事は事件の3か月前くらいから昇格して状況が変わり、毎日深夜まで働いて休日もない様子で家に帰っても遅くまで持ち帰りの仕事をしていた。

 原因は、仕事のストレスと酒の影響と考えている。また、気づくことができなかった要因にコミュニケーション不足があった。今後は、駅からの行動を監視するなど本人をよく監督して、コミュニケーションをとりながら再犯を防止していく。


【被害者の状況】

二人の被害者とも事件以来、夜で歩くのが怖くなった。男の人を信じられなくなった。人の足音でフラッシュバックしてしまうこともあり、道に身を投げて自殺してしまいたいと思うこともある。とのことだった。


【その他の情状】

2件とも示談が成立していて、計130万円の示談金が支払われているが、1件については、宥恕文言(許しますということ)は入れてもらえなかった。


【被告人質問】

「事件当時、いけないことをしてしまったとは思った」と話しているが、なぜ、そう思ったのに2週間後に2件目の事件を起こしてしまったのかということについては、話がなかった。もともと、会社で営業をしていて、その技術の一つとしてナンパすることが練習になるということを教えられていたとのことで、声をかけることは違和感がなかったし、体を触るのも、服の上からくらいなら大丈夫だろうという考えもあったとのこと。

 「酒は仕事の付き合いであいさつ程度の量以上は飲まないとする」といった発言に、裁判官が、「本当に再犯しないつもりがあるのならなぜきっぱい止めないのか」と𠮟りつけた。


【求刑】

懲役2年。


【感じたこと】

 被告人が犯行した様子は、すべて防犯カメラに写っていた。そもそも、犯行場所は自宅の最寄り駅と、自宅付近であり、自宅の窓から顔を出している様子がカメラに写っている模様。このような状況で、もし悪いことであると思っていたらできないであろうと考える。つまり、この事件は、被告人にとって普通のこととしてしか認識されていないか、あるいは、悪いことだがやめることができない状態であるかのどちらかだと思う。

 被害者は性犯罪すべてで、被告人の想像を絶する深刻な心の傷を負い、そのために今までの人間関係や仕事や学校にも支障をきたし、自尊心を気づつけられ自分や他人を責めたり、消えることのないつらい記憶にフラッシュバックなどをおこし、自殺企図をすることもある。

 それに対する加害者の認識は到底被害者としては受け入れることができないレベルのものでしかないことがほとんどである。だから、このような犯罪が起きるのだが、裁判の段階で被告人がをうした被害者の受けた傷を十分に理解し、自分の行為がどれだけ人を傷つける行為なのかということ、そうした行為を自分がなぜ行ってしまうのかということは容易には悟ることはできない。

 しかし、裁判では罰を量刑するために、「反省しているか」「二度とやらないと約束できるか」といったことに基づいて行われる。そして、それは裏切られ、再犯することが少なくない。

 被害者がいまも生きているということ、その事件を忘れることはないということ、私のこの発信さえも、再犯防止に必要だと考えながらも被害者に脅威を与えかねないことを十分に感じながら、今日も悩みながらも発信をつづけている。

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