この映画では卑猥な言葉や性的な身体接触による様々な性的暴力が描かれている。 冒頭でまず出てくるのが、学校のシーンで男の子が女の子のお尻を後ろからわしづかみにするシーンがある。女の子はびっくりして振り返るが、すぐにボーイフレンドであることがわかると笑顔で応対する。
このシーンを見てどう感じるかということを想像すると、そこには性暴力の根源となるものが垣間見れるように思われる。このシーンをセクハラだととらえて怒る人もいれば、人によっては軽いいたずらだと失笑してみる人もいるどろうし、何も感じずに見過ごす人もいるかもしれない。
しかしながら、このシーンでの男の子がボーイフレンドでなかったら女の子の反応は違うものになるだろうことは容易に想像できる。それが、仲のいい女友達だったら、仲の悪い女友達だったら、話したことのない男の同級生だったら、嫌いな男の子だったら、兄弟だったら、先生だったら、親だったら、まったく見ず知らずの人だったら・・・
場合によっては、恐怖に凍り付くはずである。
行為そのものは変わらないののだが、その行為者との関係によってその行為の意味が変わってくる。しかしながら、後ろから不意に行うということについては、そもそもがその行為が暴力的であることであることを免れない。
このシーンで、女の子は笑顔で応対するが、それはこの不意打ちの性的ないたずらを受け入れたとみられるが、果たして女の子は性的暴力の不意打ち相手がボーイフレンドであったことでよろこんで受け入れたのか、仕方なく受け入れたのかということも気になってくる。
こうした、些細な(ではない!)ことがらについても性暴力の根源的なものが潜んでいるように思えるのだ。
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