強制わいせつ事件。
被告人は買い物に自転車で外出中に、たまたま見つけた少女に声をかけ、少女のマスクを取ってキスをしたというもの。
少女の訴えでは、口の中に被告人のつばが入ったというが、被告人としては1秒足らずのことであり舌を入れるなどはしていないという。
被告人は同種の前科を含む複数の前科があり、事件となったものでさえ、H24,H28,H29,H30とあり、H30のものは懲役2年の実刑となって、出所してから2年ほどの犯行である。被告人は犯行の動機を仕事のストレスを上げており、少女にキスをすることはストレスが和らぐ行為であったと述べている。
当然、同様の犯行を繰り返しているのだから再犯を防ぐための約束をいままでも様々行ってきている。仕事を変える。カウンセリングに通う。ストレスがあるときは人に相談する。といったもの、被告人はいずれもしようとしたが、仕事はたまたま望んだことができなかったとか、カウンセリングは金がなかったとか、相談は頼れる相手がいなかったと覚悟さえあればどうにでもなっただろうと思えるような言い訳を並べて自己弁護した。
示談については、自身が持っていた200万円のうち、自身の弁護士費用や逮捕後の居住マンションの引き上げなどの費用に充てた残りが50万円だったので、自身が支払える上限と認識してその50万円を示談金として提示している。被害者は当事者の精神的な苦痛や家族の苦痛、被害者側も弁護士を雇っており、そうした被害者にたいする被害弁償という配慮はみじんもなく、自分中心な金額の提示にそれが仕方ないといわんばかりである。
地方の実家から上京して以降にこうした犯罪を繰り返しているので、出所後は実家に帰って、仕事も変えて、医療にもつながると申し立てているが、そもそもが自身の犯行が依存症であることを理解していない。依存症の改善に環境の整備は有効だが、それは環境と自分との関係のどこに問題があるのかを知らずに変えても意味がない。また、少女に対して犯行を行うということが自分にとってどのような意味があるのかも全く解釈しようというつもりがない。
彼は、実家に帰っても何らかの理由をつけてまた同じ過ちを犯す可能性が高いと思われる。判決は懲役は免れないが再犯を防ぐための方策は全く本人の自主性にまかされたままであり(まぁ、強制的に行う治療は本人が自覚しない限り意味がないが)、本人が本当に気づくまでは放置することになる。裁判官は、再犯をしないための取り組みを今度は必ずするようにと述べるだけである。
性犯罪だけではないかもしれないが、これではあまりにも再犯を防止することには無力である。このケースではH24に捕まった際に再犯防止のための取り組みが必要だったと思う。現在の司法だけで再犯を防ぐのは遅すぎる。
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