
強制性交等罪。
裁判審理の段階からなので全容がわからないが、もう一年近く続いている裁判で、被害者はガールズバーで働く当時23歳の女性。店の客と同伴のために被告人宅に呼ばれたかして、部屋に行ったところ、性行為を強要されたと訴えている。
新たに被告人が撮影していたとされる動画が見つかったため、本日、何回目かの被害者の証人尋問があった。
被告人の供述では、性行為などを強い口調で指示されたため恐ろしくて断れずに、言われるままに、性行為を行い、また、笑えなどと被告人の要求に応じて機嫌を損ねないようにするため笑ったりしていたとのこと。
動画は3つあり、
①被害者が自慰行為をしている場面。
②被害者が被告人の上になって、被告人の体を愛撫し、騎乗位で性交している場面。
③正常位で性交している場面。
となっていた(法廷
では傍聴人には見えず、音声もきこえない)。
本日の弁護人からの指摘は下記の通り。
1.②の場面についての供述が、動画が発見されるまで、警察でも検察でも供述がないこと(隠していたのか?)。
2.性交の指示や「笑え」といった被告人からの言葉は動画には見られないこと(本当に言われたのか?)。
3.行為の後、被告人と被害者はシャワーを浴び、二人で歯を磨き、ガールズバーへ同伴に向かったこと(なぜ、性暴力をされた被告人と同伴することができたのか?)。
弁護人は、このことによって行為は強制ではなく、被告人が積極的に行ったものであったのではないかという部分が執拗に被害者に確認されたが、被害者は1.については、被告人は事件後、事件のことを忘れたいと考えていて、供述も覚えていない。2.については、支持の時に録画していたかわからない。ということだった。
問題は、脅迫を伴った指示が
あったのかどうか、ということになるが本日の審理を聞いた限りでは被害者の供述のみが証拠である。被害者は、従わないとひどい目にあってしまうと感じて、性行為まで自ら積極的に協力した旨述べている。
現在の日本の刑法では、性的同意年齢の引き上げは検討されているが、性的同意年齢以上の性交(実際は条例がある
ので18歳以上)については、暴行強迫がなければ同意があったとみなしている。
このため、被害者がどれだけ抵抗したか、あるいはどれだけ抵抗できない状態にあったかを証明できなければ、同意があったとみなされる。ただ、性的同意を条件に入れたところで、やむを得ず同意するという状況があれば、やはりそれを証明できなければ逆に同意を表明したことで、その真意にかかわらず加害者には非がないことになってしまうのではないか。
日常的にも性的同意が純粋に行われているかどうかということには、疑義が入る余地があると思われ、消極的に同意しているという事態も少なくないのではないかと考えると、むしろ、消極的な同意をとれ
たことを盾に、実際には望まない性交を許してしまうことにはならないのか。そのような同意の行為の有無を裁判で証明するのは厳密には不可能に思える。
結局は、純粋に同意が成立しているかどうかということについて、同意があったという証拠が逆手に取られないように吟味する必要があるので条文にないからと言って、不同意性交が許されるというわけではないのだから、そのあたりを社会全体が十分に理解する必要があると思う。 キチンと判例を精査したわけではないが、傍聴していて暴行強迫要件の裁判所の判断も時代の流れか、かなり現実問題に沿って解釈されているように感じる。
댓글