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◎駄菓子店に来た女児に強制わいせつ。「はじめはくすぐるつもりでわいせつ目的はなかったが、手が勝手に動いてしまった」(令和4刑わ3089.初回公判R5/3/1。813法廷)

更新日:2023年11月7日

強制わいせつ。

【意味不明な言い分】

起訴内容は認めているが、意味不明な前置きがされた。

「わいせつ行為は行ったが、最初はくすぐるのが目的で、わいせつ目的ではなかったが、それがエスカレートした。」

と被告人は述べた。

 店に来た女児をくすぐるというのは体に触れるということであり、そのこと自体は犯罪ではなく悪意はなかったといいたいようであるが、百歩譲っても結局わいせつ行為をしたのであるから、この弁明はいったい何を訴えようとしているのか意味不明である。

 このように特に性犯罪加害者によくみられるこの「無意味な弁明」は非常によく見られる。例えば行為の回数はもう少し少ないとか、さわった指の本数は1本少ないとか、わいせつ行為であることは間違いなくこれらの弁明には何の弁明にもなっていないにもかかわらず、場合によっては断じて違いますとか胸を張って弁明をする。

 これはいったい何なのだろうか。私が思うに、それは被害者が被る被害について全く共感が持てていないことの表れであり、被害の時間が短いほど、回数が少ないほど、指の本数が少ないほど被害は軽いと考えているということと、自分のことを少しでも間違って認識することに対して非常にセンシティブであるということが考えられる。それは、自己評価が低いことにほかならず、自尊心を失っていることからきていると考える。

 自己評価が低く、自尊心が持てない人間は自分の行動に自信が持てず、他人からの評価にびくびくするあまりに、表面的には良い人間を演じている。その反動で、人の見ていないところで、ばれないように反社会的な行為をせずにはいられないのである。

 そして、自己評価が低く、自尊心がもてない原因は自分自身の存在や自分の感情をそのまま受け入れるということができていないことがあり、自分の感情がわからないため、人の感情も理解できないために、被害者を産むような犯罪行為にも手を出してしまう。


【犯罪の土壌となる人間関係】

この事件の被告人は、親の駄菓子店を引き継いだもので、小さなころから店を手伝うこともあり、成人してからは店の仕入れなど外回りをしていたため店に立つことは少なかった。5年前に父が亡くなり後を継いで店に出るようになり、事件の1年前から母が介護状態になり、事件の直前にはなくなっていた。被告人に婚姻歴はなく実家を出たこともない。人間関係は非常に限られていたと思われる。

人との断絶は人間性を失わせる一つの要因と考えられる。


【巧妙な接触、初めてではない】

「10秒間くすぐるのを我慢したらおもちゃあげる」といって、応じた女児の膝あたりをくすぐるうちに、陰部に手が伸びたが「なぜ、陰部を触ったのか自動的に手が動いてしまった」と答えている。

この事件の1年前に店になじみの中学生に抱きつくという事件を起こしていた。このときはなじみがありよく話をしたので自分に好意があると思ったといいう。そのとき元気がなさそうだったのでハグしてあげようと思ったとのことだが、抱きしめたかっただけに他ならないのはいうもでもないだろう。 また、被告人は日ごろからロリコンを自認していて、出会い系アプリなど使っていた。


【被害児童、被害者家族の影響】

被害児童は、事件後学校に行けなくなったり、今までしなかったいたずらをするようになったりと不安定になっているという。家族はなぜ子供だけで行かせていたのか後悔しているというが、それは親の責任とは言えないだろう。一生刑務所に入ってほしいと被害感情は当然厳しい。


【被害弁償と今後】

被告人は、店の不動産(3500万円リースバック)と社債(600万円)をすべて処分して弁済に充てるという。落ち着いたら、引っ越すとのこと。


次回、検察側被告人質問。

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